kazokmr's Blog

試したこと、読んだこと、見たこと、聴いたことを書きたくなったら書くブログ

BDD in Action Second Edtion の3章を読んだ感想

BDD in Action Second Editionの3章を読み終わりましたので、この章の感想を記録しておきます。

www.manning.com

第3章は、Specurate(推測)フェーズとして、プロジェクトの最上位のコンセプトとなるビジョンをスタートに、ビジネスゴール, ケイパビリティ ,フィーチャー と順番に特定する方法を説明しています。

BDDのためというよりは、問題の解決方法を仮定するまでの考え方と色々なテクニックを紹介しています。

また章を通して「コミュニケーションを重ねること」と「解決方法を仮定して証明すること」の重要性を説いているようにも感じました。

ビジョン

ビジョンステートメントを作る。本の中では「キャズム」の著者が提唱し「アジャイル サムライ」のエレベーターピッチの書き方でも採用されているテンプレートを使っている。

ビジネスゴール

ビジョンに基づいて、達成したい事と達成する事で得られる利益を定義する。SMARTを活用した明確な目標を立てる。要求されたことの本質的なゴールを特定するために、その要求が「ビジョンにとってなぜ有益なのか?」を明らかにするためには、なぜなぜ分析を使っている。これについては「ザ・ゴール」を読むとよりわかりやすそう。

インパクマッピング

「ゴール -> 関係者(アクター) -> インパクト(影響/効果) -> 成果物」と関係性を定義することで、必要なケイパビリティあるいはフィーチャーを特定していく。

  • ゴール: ペインポイントとして、現在抱えている問題を解決する方法を定義する。 (もちろんSMARTやなぜなぜ分析も使って洗練させると良いと思う。)
  • 関係者: ゴールに関係するステークホルダーやユーザーを定義する。直接的/間接的を問わず、ゴールに対して恩恵を受ける人を考える。
  • インパクト: 関係者がそのように振る舞うことで、ゴールが達成できると仮定する行動を書く。
  • 成果物: その行動を起こすための「何か」を仮定する。ソフトウェアやツールで実現することにこだわる必要な無い。

インパクマッピングは、仮定の検証を繰り返す事でアップデートしていく。なので検証で判断するための測定基準も考える。

パイレートキャンバス

インパクマッピング、パイレートメトリクス、そして制約理論*1を組み合わせて、幅探索アプローチで(TODO: フィーチャーやケイパビリティ)を特定するやり方。

パイレーツメトリクスはAARRR*2と呼ばれる、Aqcuition(獲得)、Activation(活性化)、Retention(保持)、Referral(紹介)、Return(利益)の5つの視点で測定基準で分析を行うこと。本の中ではこれらの測定基準を使って、ToCにおけるボトルネック、つまり制約を特定していく。

パイレートキャンバスはこれを応用して、この5つの視点ごとに業務の制約とその制約を測る指標を考える。その後にこの制約と指標を目標にして、インパクマッピングと同じように関係者やインパクト、成果物を特定する。この成果物をエピックになる。

インパクマッピングとパイレートキャンパスの使い分け

明確で優先するべき目標が定まっているかどうかがポイントと感じた。目標に対する関係者・インパクト・成果物を特定するプロセスはどちらも同じなので、インパクマッピングはどのみち使っていくことになる。

パイレートキャンパスは目標を考えることから始めるので、多くの目標が生まれ、それぞれに対するインパクトや成果物を順番に特定する幅優先アプローチとなる。この方法は労力や時間は掛かるが、幅広いアイデアが生まれる可能性が高く、どの目標から優先して取り掛かるべきかが把握しやすいことが特徴。

パイレートキャンバスを使って、ペインポイントとなる潜在的な制約(ボトルネック)を特定し、それを向上させるためのケイパビリティ(エピック)について、ソフトウェアによる解決方法に拘らずに話し合って見つけていくやりとりは、劇中作とは言え興味深く読むことができました。

感想

相手の要望を初めから、ソフトウェアで解決する方法から考えたり、相手からも「ソフトウェアをこうして欲しい。」といった感じで要求されることが多いかった。これはつまり、Featureの要望や検討をしていると言うことになるのだが、正しいフィーチャーを特定するためには、まず「何ができるようになると嬉しいのか」といったケイパビリティを特定するプロセスが重要でした。

この章ではプロジェクトや企業のビジョンから、フィーチャーを特定するまでの説明だったが、ゴールとケイパビリティの特定に重点が置かれているように感じた。フィーチャーについては大枠を掴んだだけといった感じだったので、次章以降でこの荒削りなフィーチャーを洗練する方法を説明していくと思います。

英語の表現を日本語で表すのが難しい言葉が多くなってきた。そのまま英語で表現した方が意味がより理解できる気がする。この章は特にそれを感じた。

*1:ゴールドラット氏が著書「ザ・ゴール」で提唱した、Theory of Constrains。ちなみにこれを知るために「ザ・ゴール」と「ザ・ゴール2」のコミック版を買って読みました。

*2:これが海賊の雄叫びのようなことがパイレーツメトリクスの語源みたい